ナガノヤスユ記

定職/就職のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

定職/就職(1961年製作の映画)
4.5
新文芸坐シネマテークにて。

オルミ作品初見だったのだけど、端的に言って滅茶苦茶よかった。こういう映画好きだな〜。
個人の視点や経験、記憶への真摯で実直な眼差しから、人間、あるいは自己と他者、世界がどれほど豊穣に語られうるか。
神様もお月様も、生きることにも死ぬことにも、本当はどこにも断絶なんてないのだなあ。即物的で個人的な探求、その断片的呈示が内にも外にもどこまでも拡がっていく。
そういう瞬間の、可能性の知覚とでも呼ぼうか、それこそが、僕たちが生きることの真骨頂だっていう確信、なんとなくだけど確かにあるな〜。

禍々しくも切な暗い終盤の展開とは裏腹に、なにかの希望を見たり、と言わざるをえない素晴らしい鑑賞体験でした。
背筋が伸びるよ〜。