これはすごい……
長年監禁されていた女性が、誘拐された子供と外に出る。
子供にとって初めて見る「部屋の外」と、女性にとって久しぶりの「部屋の外」
それは思ったより優しくなくて……
…というストーリー自体は実は結構前から耳にしていて、何となくどんな話か想像つくな〜と思ってた。
けどいざ見てみると、その「優しくなさ」が想像の何倍も複雑で対処し難い。
例えば、外の世界を知らない息子に外の世界がある事を教えて「嘘つき」と泣かれるシーン。
ママは昔誘拐されて、って話を真剣にしてるのに「違うお話がいいー!」と無邪気に言う息子。この絶望……
脱出するまでのシーンが思ってたより長くて、その全てがそんな感じのやるせなさで溢れていてとにかくキツイ。
「誘拐された人」の映画は見た事あるような気がするけど、「誘拐されて7年間監禁されてる人」なんて想像したことも無かったから、全てが新鮮で、妙にリアルで、生ぬるくて苦しい。
家に帰ったあと待ち受ける困難も、なんかマスコミが酷いとかそんな話でしょと思ってたけど、ああ成程……
そりゃ確かにお父さんからしたら、娘が犯された事を裏付ける事になってしまう息子なんて見たくないよなぁ。
そりゃ確かにお母さんからしたら、娘も辛かったけど自分だって辛かった!って思うよなぁ。
なんかそういう、誰も悪くないし、どうしようもないんだけど、つらい……みたいな出来事がどんどん起こって、なんでこんな見てきたみたいにリアルな映画が撮れるんだ……と怖くなった。
ラストで再び「部屋」に訪れた息子が発した「この部屋小さくなった?」というセリフに微かな希望を感じた。