つかれぐま

ルームのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
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他国事ではない誘拐監禁。
日本映画ならこの特異な状況をセンセーショナルかつ猟奇的に取り上げるのだろうが、本作は「これからを生きる」人間の物語として誠実に取り組む。A24の最高傑作じゃないかな。

子供の視線や視野を疑似体験させるカメラワークが素晴らしい。前半:サスペンス➡後半:人間ドラマとジャンルが変わるような展開が自然に呑み込めるのも、このカメラワークが終始一貫して変わらないおかげだ。

『キャプテンマーベル』からは1ミリも感じなかったブリー・ラーソンの名女優ぶり(本作で主演女優賞)。終盤の○○未遂の前後の迫真演技は、本当に〇んでしまうのでは?と心配になったよ。

「”へや”に行こうよ。」
作中で二回登場するジャックの台詞だが、一回目と二回目では意味が全く変わっている。ここに本作のテーマが集約されていた印象。人生の大事な時期を奪われた。その不幸は絶対に取り返しがつかない。ただそれでも「明日を生きる」ことは優しい人間なら出来るのだよ。

子育て中、祖父母(私の親)の世話になったことを今更ながら思い出した。