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ルームのryoのネタバレレビュー・内容・結末

ルーム(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

後半一時間がこの作品のキモであるように感じた。
一度狂わされた歯車は「ハッピーエンド」という魔法の言葉で簡単に元に戻ったりしない。噛み合わない歯車は軋み、お互いを傷つける。

悪の作った環境に郷愁を覚える子供。彼には『ルーム』の外から突然やってきた正義を呼称する力の方が、自分と母の秩序を脅かす不穏な「干渉」に見えた。
特にこの子供が象徴した「最大の問題は愛着であって善悪ではない」というスタンスは、本作で最も印象的だった。
人は時に倫理ではなく慣習によって物事を判断する。それは子供だけにとどまらない。
「犯人が悪い」で解決するのは、『ルーム』の外の人間だけなのだろうと思う。だからこそ歯車が狂わされた人間は救われた後でも傷つくことになるのかもしれない。
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