masayaan

ルームのmasayaanのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.2
うーむ。めちゃくちゃ感動したし、めちゃくちゃ泣いたのは事実。見終わった直後はヤバい!年間ベスト級の大傑作!!という思いすらしたものの、いま改めて考えると果たして自分は何に感動したのか?という思いも募る。

製作側の「描いたつもり」のものを「観たつもり」になってるけど、肝心なものは見れてないのでは? そのくらい、後半は実は無内容にも思える。悪意を持って言えば、感動商法っちゃ感動商法であるし、圧倒的な被害者性を利用したポルノすれすれの過剰演出映画であることもまた事実だろう。

終盤、母が事ある度に泣いているのは主にメンタルの不調から来る「症状」としての涙もろさの筈であり、そこらへんがごっちゃになったまま感動的な演出と音楽で攻めてこられると、さすがにちょっと、いたずらに泣かせすぎではという思いもしてしまう。

あるいは、これは類い稀な子役の演技で成り立っている映画であり、徹底した子供目線からのカメラワークであり、子供にとっては母と過ごした5年間はそれでも至上の思い出であり、そこまでは良いとしても、その特権的な視点を借りて「それでも、世界は美しいんだなあ」と感動したいための設定であるなら、それはやはりポルノのであります。
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