Shelby

ルームのShelbyのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.3
7年前、突然監禁された後納屋の中でひたすら息子と生活をしていく親子の話。
前半の監禁されているところは意外とアッサリしていた。けれど、助かった後からが本当の地獄だった。
難しいテーマだと思う。事件が解決して本当に良かったね、で呆気なく終わる訳では無い。事件による影響は、あくまでも被害者の心に残り続ける。今までとはまるで違う生活。もしあの時監禁されていなかったら?もし犯人の口車に乗ることなく帰宅することが出来ていたら?そんな、もし、を考えても仕方がないけれど、そう思わざるを得ない。
乗り越えるには時間がかかるだろうに、ジャックという存在が本当に心の支えだったのだろう。それは、ルームにいたときも、外に出た後も変わらなかったはず。被害者であるジョイだけでなく、周りを取り巻く家族たちの微妙な心理状態もよく表現されていた。

また、ジャックは少し遅れてきた様々な〝初めて〟を経験していくのだと思うと、本当に悲しくなった。普通の子だったら、もう既に知っていることも、ジャックは今から学んでいく。自分たち以外の存在すら知ることのなかったジャックからしてみたら、見るもの、触れるもの全てが新鮮。
ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの演技が本当に素晴らしかったと思う。
トラックの上で、生まれて始めて仰ぎ見た空に目を見開き驚くところや、ルームに決別の意味を込めてバイバイをしていく場面など。難しい役どころだったにも関わらず、あんなに無垢な少年を演じられるなんて、小さくても立派な俳優だということを再認識。

思っていた以上に泣かされてしまった。絶妙な心理状態を描いていて、被害者のその後を見事にクローズアップしている。母親と息子の愛に、心揺さぶられる作品。
Shelby

Shelby