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ルームのharuのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.4
いい意味で事前のイメージを裏切ってくれた作品。

ROOMというタイトルや、簡単に読んだあらすじから想像していたのは、監禁部屋からの脱出劇がメインの映画でした。

誘拐され、強姦され、出産した子供。
その子供が5歳になり、外の世界を知らないことへの不安をきっかけに、母はなんとか子供を外へ苦そうと画策する。

これだけでも充分ストーリーとして成立しそうなのに、実際はこの映画の本質の半分にも満たないわけで。
むしろそこで終わってたらきっとこの映画の評価は全く別のものになっていたのは間違いありません。

事件後にやってくる、当事者だけでなく、当事者の周りの人たちの“心の動き”がこの映画の本質であると感じました。

事件が解決しても、特に気持ちの部分で解決できないものはたくさんあると思います。
それは当事者だけでなく、その人を大切に思う人みんなに通ずることなのでしょう。
“不安”は状況によっていろいろな形に変わります。いまを生きていくための不安、未来へ生きるための不安、周囲の“普通”と比べての不安など、たくさんの不安を抑えられなくなってしまったら、誰でも正気ではいられなくなってしまうのかもしれません。

物語後半は子供のナレーションベースで物語が進みます。
その言葉1つ1つが、なんとも純粋無垢で、すごくストレートで、本質的です。
不安でいっぱいになり、我を忘れてしまう大人たちの芯まで突き刺さったことでしょう。
その様子が本当に暖かい。

ヘビーな事件が背景にありながら、とても暖かい、素敵なヒューマンドラマでした。