ガラムマサラ

ルームのガラムマサラのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.8
完全情報シャットダウン鑑賞の衝撃。

いやこんな映画だったのかよ!完全に騙された!

そう大声で叫びたくなるほどの作品です…………いやまあパッケージとかに書いてあるんですけどね。まるで読まずに観たものだからそりゃあもうね。
この衝撃たるや、SF作品だと思って鑑賞したのに開始早々十数分猿が戯れている映像を見させられたときに匹敵するかもしれません。


とはいえ、です。
この作品の愛と葛藤と非日常の描き方は良いですよ。

親と子で、まるで視点が違うんです。
前半は親、後半は子ども、双方で逆転してしまった日常と非日常を描いていると感じました。

特に後半、人生のターニングポイントを世界の常識を味わうことで経てしまった幼すぎる少年。彼の視点に寄り添っていて、不安と周りの人々の心情がなんというか伝わってくる。子どもは親が思う以上に周りを見ているとは言いますが、カメラ越しにそれを体験できるとは…………。

井の中の蛙大海を知らず、なんて諺がありますが、なるほど、大海を知ったところで泳ぐことはできないんですね。そりゃそうだよ。うん。
でも、泳ぎ方を教えてくれる人がいれば、一緒に泳いでくれる人がいれば案外なんとかなるものなのだなぁと、そう、しみじみと思いました。