NAOKI

ルームのNAOKIのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.8
その朝…おれはイラついていた。
いい天気なのに運転しながら様々な問題が次々に頭に浮かんで…えーと…あれはこうして…ああして…あ!バカ!なんて割り込みしやがる!てめぇ今朝はじめて車を運転したのかぁ?!

信号に引っ掛かる…
「ちっ…この信号長いんだよな💦」

信号機の脇の舗道に電源とか安定機とか入ってるのかな?大きな段ボールぐらいのボックスが設置されてるじゃないですか…その上にまだ随分とランドセルが大きく見える小学1年生くらいの男の子が腰に手を当てて立っていて…一心不乱に歌を歌っている!😁💦

信号待ちのおれは車の中から…ちょっと目が点になりながらそのガキの「一人早朝コンサート」を眺めていた。

この「ルーム」…監禁というショッキングなシチュエーションが話を引っ張るわけだが…それを観て感じる大人の視線の中に息子の…つまり子供の視点が交差する。
忙しい日常の中で大人が忘れてしまっている子供の視点…それがこの監禁という異常な状況をどのように見ているのか?

ルームの中しか知らない5歳のジャックは部屋中のモノに名前をつけていた。
彼がその名前をもう一度呼ぶとき、おれは大人の視点とはまるで違う子供の心を垣間見てしまい涙してしまったのだ…
映画の世界で子供と動物は反則だというが…
「そりゃ反則だぜ💦」
この映画のラストシーンでおれは予想もしていなかった種類の涙を流すことになったのである。

信号はもうすぐ青に変わる…おれは好奇心が押さえられなくなってウィンドウを下ろし、ちょうど一番を歌い終わったらしいガキに声をかけた。

「少年!そりゃ何の歌だ?」

彼は真っ直ぐにおれを見ると笑みを浮かべながら元気な声で…
「仮面ライダー!」
と答えた。
毎朝…このボックスの上で世界征服を企む悪と戦ってるんだろうな😁💦

若い頃はこれくらいの子供が苦手だった…でも歳かな?今ではこれくらいの子供を見ると…自分の息子の小さかった頃を思い出すのか?…はたまた自分の子供時代を思い出すのか?その曇りのない澄みきった瞳を見ていると目頭がつんと熱くなって泣きたくなるような気分になる。歳だな😁💦

信号が青に変わる…
「頑張れよ~ちびライダー」
二番を歌い出したガキに親指立ててから車を発進させる…
ガキは歌いながら横目でおれを追いつつ親指を立ててくれた…

気がつくとさっきまでのイライラがすっかり消えていることに気づく…
どうして大人はすぐに純粋に悪と戦っていた子供の頃の自分を忘れてしまうのかな?

ちびライダー…お前の歌はとりあえずここの大人を一人…
救ったみたいだぜ😁💦