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ルームのレクのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
少年にとって小さな部屋"ルーム"こそが世界の全て。
外の世界に放たれた時、子どもには柔軟性という強みがある。
閉塞的空間からの脱却は新たな成長と可能性を見出すこと。
脱出サスペンスと人間ドラマの二部構成とあえて穏やかに丁寧に描かれる心理描写が素晴らしい。

奪われた人生を取り戻そうと焦る母親と解放された世界になかなか馴染めず葛藤する少年。
時折見せた部屋へ戻りたいという気持ち。
思い出は決して良いものとは言えない。
しかし、部屋の中で唯一無二の母親という存在と共に過ごした歳月、そこで培われた母親の愛情は本物であり、切望する心理の表れ。

冒頭と終わりで監禁されていた部屋の広さが違って見えたのも、知らず知らずのうちに鑑賞者がジャックの視点でその世界を見させられていたことを意味する。
感情移入しにくい設定にも関わらず、巧みなカメラワークや演出で母子の愛と成長をここまで上手く描けるものなのかと脱帽しました。
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