Haruna

ルームのHarunaのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
ただ誘拐監禁事件が犯人逮捕で解決ではなく、
当人、その家族の人生というのは一生その事件が付いて回るという事をまざまざと描いている。
よくある事件解決をオチに持ってくるのではなく
その後の人生を描くことに重きを置いているのとその周囲についても描いている点がより胸を締め付けられる思いがする。
ただ助かった=安堵とは限らないのだ、と。
また前半の監禁されている“ルーム”のシーンがジャック(子ども)目線で描いているのも事件の悲惨さを感じる。
無邪気だからこそ胸が痛む。

そしてこの作品の素晴らしいところは
気持ち悪いほどにリアルなところ。

最初は不気味がる警官。
奇跡の生還に沸く地元民とマスコミ。
事件の間に変わってしまった家族。
どうしても孫の顔を見ることの出来ない被害者の父親。
血の繋がりはなくても懸命に向き合おうとする母の再婚相手。
自分のいない間に再婚していた親に暴言を吐く娘。
悪意のある質問をするキャスター。

これらが描かれていることによって
家族の苦しみや当人の苦しみが
肌感覚で伝わってくる。

「天窓も、サヨナラ」
というセリフに親子がこの事件から
区切りを付けたように見えた。

「おはよう」から「サヨナラ」で幕を閉じたのもとてもまとまりのある映画の構成だった。

ほんとに強い親子だった。
実際にあった事件を元にしているらしい…
どうか、この世界から悲惨な事件が全てなくなりますように。
Haruna

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