YYamada

ルームのYYamadaのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.7
【圧巻の演技!】
ブリー・ラーソン ~
第88回アカデミー主演女優賞 受賞作

〈見処〉
①「A24」製作。画期的な低予算作!
・製作費わずか1300万ドルながら、演技力確かな俳優陣の起用や、独自性のあるストーリー展開にてチープさを感じさせない。本作にて、新興の映画制作会社「A24」
の最初のオスカー獲得となった飛躍作品。
・ポスターなど告知媒体を見れば、本作は監禁環境からの脱出の物語と想起できるが、本作の冒頭は薄暗い小部屋で、愉しげに料理やエクササイズする親子二人…本作のシチュエーションは宇宙?地球?現在?世紀末?
・鑑賞者にとっても、子役のジャック同様に「世界はどうなっているか?」以降のストーリーラインに不安を感じさせる演出となっている。
・本作中盤で、ジャックが人生で初めて見た大空。我々鑑賞者もジャックと同様の心境にさせてくれた見事な「じらし」演出だと思う。

②誰に共感するか?
・本作のテーマは「脱出」ではなく「救済」にある。
・監禁された環境で我が子を守り、必死に冷静さを保とうとする母親ジョイを鬼気迫る演技で務めたブリー・ラーソン。本作でアカデミー主演女優賞を受賞したが、薄暗い小部屋には、もう一人の圧巻の演技の体現者が存在。
・当時、わずか8歳の「天才子役」ジェイコブ・トレンブレイは「ルーム」では、彼の「なぜなぜ問答」にて、母親や我々鑑賞者を苛立たせ、一転、救済後は母親よりも高い順応性を見せ、我々を安心させる。
・本作のテーマ「救済」の観点で、貴方は、二人のどちらに感情移入出来ましたか?

圧巻の二人はその後『キャプテンマーベル』になり、もう一方は『ワンダー~君は太陽』で大活躍を見せることになる。
YYamada

YYamada