す、す、す、素晴らしい。アメイジング。オウサム。ブリリアント。エピック。こりゃ戦車アニメ版の『ピッチ・パーフェクト』で、『マッドマックス』で、『アベンジャーズ』だ。
『ガルパン』は、テレビシリーズからして、見た目こそ萌えアニメだけど中身は熱すぎる展開が見ものの戦車バトルアニメだった。女の子が戦車で戦うという謎の設定を、「戦車道」というスポーツであるとして強引に成立させているのだけど、それが妙なユーモラスさと狂気を醸し出しているところが魅力でもある。
そのくせ、「戦車道の大会で勝たなければ学校が廃校にってしまう」という、シンプルな動機づけをすることで、スポ根の要素まで加わって、最終話は大興奮かつ感涙とともに幕を閉じた。
さて、今回の劇場版(これ以降若干ネタバレかもしれません。)。
基本プロットはなんとテレビシリーズと同じく、廃校を免れたはずの大洗女子学園が、再び廃校の危機となる。ほとんどそれだけ。
しかし、中身はとてつもなく濃い。というか、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がカーチェイスだけでストーリーを語る映画だとしたら、これは戦車道だけでストーリーを語る映画です。
思えばテレビシリーズの時から、過度に日常描写をせず、キャラクター同士の戦闘中の掛け合いによって関係性が見えるようなところがあったけど、しっかり劇場版にも受け継がれてます。
オープニングは、大洗女子の優勝記念エキシビションマッチの最中から始まるんだけど、ここからしてもう最高ですよ。
テレビシリーズに登場した高校が、そして大洗女子チームが、スクリーン狭しと大洗の町で戦車戦を展開し、映画館の音響を響かせて砲弾を射出していることに、シリーズのファンならまず感極まると思います。
そしてオープニングアニメーション。ここもテレビシリーズの聞き慣れたメインテーマのアレンジ版とともに、チームのゆるいエンブレムがスタッフクレジットと共に映されていく…完璧です。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』並と言っていいくらいテンションの上がるオープニングシーンでした(というかタイトルの出方も似ていた)。
ところでこの映画、ここまで褒めちぎってますけど、映画一本としてみるとやや強引というかいびつなところもあって。
前半約20分〜25分くらい？がこのエキシビションマッチで、いわばアクション映画のオープニングアクションみたいな感じなんだけど、20分となるとやや長い。でも、ガルパンならこれでもいい。いや、むしろこのノリが120分続いても良いや！くらいには思っていた。
と思ったところでまた20分〜25分くらい、今度は戦車戦以外の描写が始まる。ここでまた彼女達の今回の動機づけが描かれたり、それぞれの人物の関係性が描かれる。(ちなみにここでも、コンビニに戦車で行ったり、子供が田舎のあぜ道で戦車に乗ってたりという狂った描写も垣間見られるのでそこまで退屈にはならない。)
そして、そのあと残りの1時間ほど。ここが全て戦車戦に当てられていた！！！なんという変な三幕構成！！！だけど潔い！！途中の20分くらい以外が全部戦車戦！！！アホか！！『十三人の刺客』かよ！！
パンフレットの監督の言葉によると公開日の10日前にはまだ映画が完成していなかったとのこと。さもありなんというかなんというか。ちなみに、パンフレットにはもっと戦車戦の戦術の解説や試合会場のマップなんかが載ってればよかったと思ったんだけど、そんな状態でパンフレットを作ってたならしょうがないかと思わされてしまう。まあその辺はまたいずれムックかなんかが出るでしょう。
さて、後半のアクションに話が向かっていくんだけど、ここでもテレビシリーズファンにとっては待ちに待った展開。
まあ、ここが『アベンジャーズ』ですよ。「こっつん作戦で」は「ハルク…スマッシュ！」ですよ。
正直ここら辺からはずっとウルウル来てました。感動というよりは燃え泣きです。前半の大洗で市街戦をやったので、クライマックスの戦場はどうするのかな、と思ってたんだけど、決戦の舞台の設定がまた素晴らしかった。この設定ならなんでもアリにできるし、絵的にもダイナミックだしね。中でも一年生チームのこの舞台での活躍は白眉。ここが一番笑うと同時に燃えました。
この後半の試合のルールを殲滅戦にしたのも良かったと思います。各チームの活躍を描くという意味でも、最終決戦を盛り上げるという意味でも。
いやーほんとこのシリーズ、もっとじっくり時間をかけて何年かに一度映画で見せてほしいです。今回の映画にも次回の映画につなげられそうなキーワードが何個か出てたし、何よりキャラクターがみんないいので、それぞれのスピンオフもできそうだし。ガルパン・ユニバースがはかどりますね。
いや、本当にいいもんを観ました。立川でこれの爆音上映をやってるそうですが、これも『マッドマックスFR』並みに爆音が似合う映画なので、できれば観に行きたい…。
