K助

ガールズ&パンツァー 劇場版のK助のレビュー・感想・評価

4.1
いやー、面白かった!
明らかにファン向けの作品なのですが、こういう作品を観ると「こんな楽しみを味わえるなんて、オタクで良かったなー」なんて思ってしまいます。ただ、「生まれてきてよかった」なんて感想を真剣に語っている書き込みを見ると、ちょっと引いてしまいますが……。

閑話休題。
上映開始前に、3分間の「今までのあらすじ紹介」がありますが、かと言って初見の人に配慮していると思ってはいけません。
本編のストーリー構成からして、一般人は対象外。本編を全部見た人、出来ればOVAも見たファンが対象です。三年前の作品なので、お前らちゃんと覚えているか、程度の軽い確認、と考えましょう。僕は「(戦車道は)茶道や華道と並ぶ女性のたしなみ」というセリフを聞いて、「ああ、バカな世界が帰って来た。理屈を考えるのは止めよう」と思いましたねw

ストーリーは、TV版の最終回を引き継いでの、大洗市を舞台にした優勝記念のエキシビジョンマッチと、大学選抜チームとの対戦、この2つの戦いを中心に構成されています。と言うか、エキシビジョンマッチ → 大学選抜チームと戦う為の理由付け → 大学選抜チームと対戦、という流れになっていて、劇場版の資金を使って派手な戦車戦をガンガンやるぜ!、という単純明快な映画になっています。
ウラー!

なので、映画の印象は、ひたすら戦車が動く、動く、主砲を撃つ、撃つ、撃破する、撃破される。これが、すさまじく美麗なCGと音響で展開される訳で、TVの戦車戦に興奮した人間には堪らんモノに仕上がっています。
反面、人間ドラマは軽めですが(笑)。
スタッフは明確に優先順位を付けて製作し、それが見事に成功しています。まあ、現実の戦車にはあり得ない機動性ですが、そこはアニメでファンタジー。野暮な事を言っては、駄目。
この迫力は、映画館で観るべき作品である、と言えますね。

細かいミリタリー描写は、ファンタジー的表現を例外とすれば、僕なんかの知識では追いつかないほど、色々と盛り込まれているようです。旧大日本帝国陸軍の九七式中戦車を装備している知波単(チハたん)学園の、敵を追い込むと突撃、戦況の判断に困ると突撃、仲間がやられると突撃、とにかく突撃、と言う思考パターンは、セリフ回しの上手さもあって、あまりに旧軍的で、乾いた笑いが浮かんでしまいました。

ただ、仕方がないのでしょうが、アニメ自体は美少女動物園な内容なので、自分にとっては「面白かったー!」と言える作品なのですが、リアルワールドでは誰にもオススメ出来ないw 劇場で販売されているパンフレットも、ストーリーや登場人物、メカ紹介のページ数よりも、出演女性声優のコメントページ数の方が多い、と言う……。100人が1回づつ観るよりも、10人が5回づつ観るのを狙っているのでしょうが、こんな風にターゲットを絞りに絞って、声優や関係者を食わせる為に作品を作っているようでは、どんどん業界は縮小してゆくだけなんだろうなぁ、と思わされました。
……第三セクターの公共事業みたいだな、おい。
K助

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