垂直落下式サミング

ガールズ&パンツァー 劇場版の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.6
UFOキャッチャーの寝そべりぬいぐるみ各校隊長シリーズをようやく全種コンプリートできたので、家に帰ってぬいぐるみをクッションの上に積み上げてみたら、なかなかどうして安定感のあるピラミッドをつくることができた。二頭身のちっこいやつが重なってる姿はとっても可愛いのだけれど、店ではアームパワーMAXの在庫処分台に叩き込まれていたのを見るに、キャラ人気ではラブライブサンシャインの足元にも及ばないのだろう。くやしいのうw
新作も公開することだし、この機会に劇場版をもう一度鑑賞してみた。
はじめは少ない上映館だったものが評判を呼び徐々に広まって、遂には4DXや爆音上映とやたら長期間上映していた本作。あらゆる趣向を凝らした様々な視点・構図で描かれる戦車戦に詰め込まれた過剰なまでのサービス精神と、ふんだんなアイデアに出し惜しみがなく、非常に景気の良い劇場版となっている。
しかしながら、テレビアニメですべての問題が清算されて綺麗に幕を降ろした後を描くお話なので、大洗チームの新しい葛藤の置き所に少し違和感があり、『北斗の拳』で言うとラオウが死んだ後とか『アイシールド21』だと最後ら辺のワールドカップ編みたいな感じがして、多少強引に話を広げた続編なのは否めない。
でも、敵同士だったチームのオールスターが一同に会してひとつのチームとして戦う絵面は、確かに映画ならではの豪華さ。さらに、テレビアニメには登場しなかった新キャラが立っていて、大学選抜のおねえさんたちや西隊長にスナフキンにローズヒップなど、映画初登場のキャラがここまで魅力的なのも珍しい。本編の蛇足にはならないよう配慮されている。
みぽりんが実家に帰ったときに「姉より優れた妹など存在しねぇ!」などと意地悪を言わず、お母さんに内緒で学校の書類に印鑑を押してくれるまほお姉ちゃんが女神なんですけど、新キャラのなかでは聖グロ期待の新人ローズヒップちゃんがお気に入り。「マジですの!?」とか「来ましたでございますのよ!」みたいに敬語が滅茶苦茶なところが可愛い。これこそ日本語の可能性だ。近頃の若者の言葉の乱れについて、「実に嘆かわしいことです!けしからんですな。」などと了見の狭いことは仰らず、老害でいらっしゃるお方も一緒になってお楽しみになっていただきたいで御座いますことですわ。
ローズヒップはドラマCDで主役を張っていて、彼女が聖グロリアーナ女子の生徒としてあるべき気品を身に付けるために、ダージリン様からテーブルマナー講座を受ける様子を聴くことができる。お茶目なダージリンがものを知らないローズヒップをからかうのだが、この俗物を笑い者にする英国気質を可愛いやり取りとしてみられるのは萌えアニメだからか。オレンジペコの出来る副官っぷりが堪能できるし、何より本編の出番が少なかったアッサム様の御声が聴けるので、面倒見のよさそうな指導の様子から彼女の人となりがここでようやくわかる。
にしても、隊長と参謀の二人の先輩が卒業したら、その負担を丸々引き継ぐ上に、同期のバカたちの面倒をみながら、後輩の育成までしきゃいけない胃酸逆流必死の役職を押し付けられるであろうペコが不憫でならない。聖グロ、冬の時代へ!