「悪いことするなら、断然ヨーロッパ!」
と断言したくなった、ドイツ発のクライムコメディ。
ドイツの街オストホーフェンの真面目な銀行員・ティルが、刑務所から出所したばかりの銀行強盗・ナッポの人質になる。最初は反発し合うが、いつしか共鳴していく。
原作は小説らしいが、あまりにユルユルな展開すぎるので、「もしかしてラノベ原作?」と疑ってしまった。
ナッポ役のモーリッツ・ブライブトロイは「ソウル・キッチン」にも出演。ムショ帰りという設定だが、いい人オーラ炸裂してて、徹頭徹尾、憎めない。
ただ、どんなにイイ人だとしても、銀行強盗で自分を人質に車を奪って逃げた犯罪者な訳であって、簡単に仲良くなるワケないと思うんだけど。
しかも、ナッポとティルが意気投合するキッカケが、
「一緒にギターで弾き語りする」
って何それ!? なんでそんなんで仲良くなってんの?
ニートな俺が言うのもアレだが、この作品の「出会って数時間で親友」って展開、「出会って三秒で合体」以上に信じられない。新垣結衣が結婚したのも信じられない。
中盤、舞台はドイツからオランダのアムステルダムに移動。妻が浮気していると誤解したティルが自暴自棄になっていく、ティルのPOV目線による乱痴気騒ぎが始まる。ここ、「イングロリアス・バスターズ」に出てたティル・シュヴァイガーがちょい役で出てたりして、作品的には一番盛り上がる。
一人バカ騒ぎするティルを尻目に、ムショ帰りのナッポと、その彼女ナディーン(ヤスミン・ゲラート)が繰り広げる掛け合いも楽しかった。
ナッポ役のモーリッツ・ブライブトロイ、身長173cmなのだが、ジャケットでも中指立ててるヤスミン・ゲラートは175cm。デカ女に尻に敷かれてる感がよく伝わってくる。ついでに言うと、貴女、「バイオハザード・ヴィレッジ」にも出てましたよね!?
ここからはちょっと終盤展開のネタバレになるのだが、妻をアゼルバイジャン人のギャングに誘拐されたティルは、アゼルバイジャン人から奪って散財してしまった大金を工面するために、なんと、アムステルダムで、銀行強盗を企てる。
「なるほど!」と、俺は思ったのだ。
ティル、銀行員だったよね?
銀行員だったら、「銀行強盗が如何に成功率低いか」くらい分かってる。
つまり、銀行員ならではの、俺の思いも寄らない手段で、金をせしめる筈だ!!
いやー、よく考えられた展開だわ。これまでアル中の脳筋バカにしか見えなかったティルが、ようやく本領発揮、伏線回収しまくりのターン!
だが、ティルの取った手段は、
窓口で堂々と「金を出せ」。
……さすがにこの展開には「え、マジで!?」と、唖然としてしまった。
ティルが銀行員だって設定、何も活かしてないやん。そもそも冒頭でナッポが銀行強盗で下手うってんのに、同じことやって、どーすんのよ。案の定、銀行強盗は見事に失敗する。そら、そーだわ。
銀行強盗もそうだが、人質に取るってシチュエーションも二回使われてるしさ。ちょっと脚本が甘いんじゃない? それとも、原作ラノベがこういう設定なの?
おまけに、こんだけ大騒ぎして銀行強盗までやってんのに、最終的に微罪で釈放、ハッピーエンドとなって終わるのはヨーロッパならではじゃないか? これ、北朝鮮か中国だったら有無を言わさず銃殺刑でしょ。アメリカでもSWATに現地でブチ殺されてるでしょ。
ま、色々書いたけど、気楽に見る、おバカコメディとしては楽しめました。犯罪するならヨーロッパ一択だね!