こたつむり

ボブという名の猫 幸せのハイタッチのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.3
★ 肉球、鼻のあたま、もふもふのお腹
  きみを構成する要素すべてが愛おしく

ネコのネコによるネコのための国づくり。
そんな公約を掲げるネコネコ党の党員ならば鑑賞必須の作品でした。

ただ正直なところ、ツッコミどころは多いです。表層を撫でる描写が多いので説得力に欠けるとか、優しさを強調する演出で背中が痒くなるとか、ネコの気持ちと脚本で想定している動きが合っていないとか…色々とあるのです。

でもね。
本作はとても大切なことを描いていました。
それは“ネコに対して敬意を忘れない”こと。

劇中で「路上はネコにとって良い環境とは言えない」と宣い、主人公から《ボブ》を奪おうとする良識派が出てきますが、それは思いやるようでいて《ボブ》の気持ちを無視した上段からの物言い。

そう。自由の民であるネコに“生き方を強いる”なんて誰にも出来ません。主人公はそれを十分に理解しているから《ボブ》も心を許すのです。

それに「ネコは気まぐれな生き物」なんて言いますが、本当に好きになった人間には全てを捧げるようにお腹を見せる生き物。要は人間次第なのです。

だから《ボブ》が主人公を尾ける場面。
本来、ネコはナワバリを重要視するので“人の後を尾ける”なんて行為はしないはずなのですが、好きな人ならば話は別。「離れたくない」という気持ちが伝わってくるのです。

しかも、出演しているネコは《ボブ》自身。
だから、説得力も圧倒的に違うわけで、肩の上に載る姿など見事な限りでした(慣れていないネコは爪を立てるから痛いんですよね…その割には登りたがるので大変)。

まあ、そんなわけで。
ネコと人間の“種族を超えた”ラブストーリィ…なんて言える物語。心の中で体育座りになる場面もありますが、基本的には喉をゴロゴロと鳴らしながら楽しめる作品。個人的に茶トラが一番好きなのも高評価に繋がっています。勿論、他の猫も好きですけどね。

…え?人間たちのドラマ?
あんなのは飾りですよ。偉い人にはそれが分からんのです。
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