家族からも見放され、ミュージシャンとしても夢破れて、何の目的もないままホームレスとして路上生活するジェームズ。
挙句にはヘロインに手を出して、薬物治療を受けるが、死にかけるほどの常習者。どん底で精神も困憊していたジェームズだが、一匹の茶トラと出会ったことで大きく人生が変わることに。実話をもとにした作品。
猫映画というよりは社会派薬物映画かもしれません。
イギリスと聞けばレンガ造りの景観のある建物や服装や容姿がオシャレな人を想像しがちですが、実際には暗闇に隠れ、光の射さない場所があるというのが痛いくらいに分かります。
手を伸ばせば薬物が簡単に手に入り、ジェームズに対しての周りの反応は軽蔑するように冷たく、頼れるのはソ―シャールワーカの必要最低限な支援だけ。
そんな閉ざされた劣悪な環境では、薬物治療など続くわけがないです。
誰も助けてくれず誤解されたままの惨めなジェームズは本当につらいものでした。
そんな彼が親友であるボブと出会えたときは自分のことのように嬉しかった。路上でライブするときもどこに行くにもいつも一緒。
肩の上や首周りに座ったり、ハイタッチしてくれるのは本当に可愛いです。人と猫の垣根を超えた本当の友情がそこにはありました。
悪く言えば客寄せパンダのボブのおかげなのかもしれない。
でもこれはジェームズ自身の人柄も大いに関係していると思う。
微々たる財産をはたいてまでも怪我したボブを助けてあげたり、決して腐らずに信じ続けたことで初めて誰かに必要とされ、愛したい守りたい存在へと変化していったからです。
猫好きに悪い人はいないというように、人や生きものに限らず自分自身にも愛情を注ぐことがいかに大切なことなのか。
ボブがくれた贈り物はお金でも、地位でもなく、愛すること。
僕もいつまでも愛情の種まきができる人でありたいな。
実家のちび猫たちにも感謝しようっと。ありがとう!たま!むぎ!