Ryu

マダム・フローレンス! 夢見るふたりのRyuのレビュー・感想・評価

3.6
実在した音痴なソプラノ歌手 フローレンス・フォスター・ジェンキンスが1944年10月25日にカーネギーホールで行った公演の物語。

大女優 メリル・ストリープとロマコメの帝王 ヒュー・グラントが夫婦役を演じます。メリル・ストリープは歌が上手いことでも有名ですが、今作での音痴っぷりはすごかったです。少しづつ崩しながら音痴方向へ持っていったそう。歌声まで演技するなんて、流石ですね。
優しい嘘か厳しい現実か。これは中々難しい部分ではありますね。どっち側ってハッキリとは言えませんが、6:4くらいで厳しい現実かなぁ。やっぱり永遠にバレない嘘ってあんまりないんじゃないかなと思うし、バレた時が厄介なんでね〜。さらに今作ではその嘘のために夫が金にものを言わせているのがちょっとひっかかりました。これだったら実力で勝ち取った人たちや、勝ち取ろうとしてる人たちに失礼な気もします。
フローレンスは歌は下手くそではありますが、その人柄は良くて夫と音楽を愛し、ひたむきな姿勢は崩しません。ラストのカーネギーホールでのパフォーマンスも素晴らしいものだったことに変わりはありません。夫も不倫はするし、完璧な夫とは言えないかもしれないけど、フローレンスのことは心から愛しているんだろうなぁということが伝わってきました。伴奏者として雇われるマクムーンの存在もいいスパイスになっていたと思います。
作風もゴリゴリのドラマ調ではなく、上品さの中にもコミカルなテイストが入っており、非常に観やすい設計になっていたと思います。ホッコリはしますが、個人的には「感動の実話」とまではいかなかったかなぁ。
Ryu

Ryu