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マダム・フローレンス! 夢見るふたりのarchのレビュー・感想・評価

4.0
これが実話ってのが凄い。この映画を見た後、直ぐに彼女の「夜の女王のアリア」を聴いたが、メリル・ストリープの再現度が凄いと感じた以上に、たまに本家を超えた音痴かましてくるフローレンスに思わず、笑ってしまった。しかし下手くそだと感じながらもそこに愛しさを感じてしまい、それは映画の中の懸命に努力する彼女を見たからなのだと感じました。

思い出したのは"エド・ウッド"という作品。エド・ウッドは映画監督であったが、作品はZ級と言われるほどつまらなかった。しかし、彼の映画への愛は誰よりも強く、今では彼の作品を愛する人は多くおり、"ティム・バートン"や"タランティーノ"も信者だったりする。
"マダムフローレンス"もこの作品と同様に音楽への愛は本物で、そこに優劣は関係ないと証明している。
なぜなら彼女が憧れの地"カーネギーホール"で歌ったことは変えようのない事実であり、皆の記憶に残ったのだから。

あと、言及したいのはホワイティーについて。
見ていて彼は何故彼女を持ち上げるのか?金目的か?と思って見ていたのだが、それが真にフローレンスのことを愛していたからだと分かったのがとても良かった。
常識をもつ人には彼のそれらの行動は理解出来ないが、フローレンスとホワイティーの間にはそれが成立するのだとこの映画を通して感じられる作りになっていたと思う。

確かに彼女はお金持ちで、その金の力にものを言わせていた節を感じたが、そこがより実話であることを際立てていて、自分はあまり気にならなかった。でも正直そこに引っかかってしまう人が居るだろうとはちょっと思った。

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