きぬきぬ

ザ・ダンサーのきぬきぬのレビュー・感想・評価

ザ・ダンサー(2016年製作の映画)
3.7
19世紀末前衛的なダンスで一世を風靡させたロイ・フラーの伝記的作品で、史実を確認するとアレンジ過多ではあるけれど、ロイ・フラーのダンスのあまりに美しい再現とロイを演じたソーコが本当に素晴らしい!
ロイ・フラーのソーコは、気丈で頑固で真っ直ぐなのに、繊細でいつも不安に怯え震えているような痛々しさと美しさがたまらなかったのと、彼女のパトロンとなる伯爵ルイのギャスパー・ウリエルがもうエロ過ぎて参った。
ロイ・フラーを魅了するイサドラ・ダンカンのリリー=ローズ・デップも小悪魔的で良いし、ロイ・フラーのおそらく為人に魅せられ、彼女に寄り添い尽くすガブリエルのメラニー・ティエリーがまた良くって、とても女性の映画でもあった。
ダンスを学んでもいない女優になりたかった女性が、コンテンポラリーなダンスを見出し、生活の為アーティスティックな自己表現の為亡き父親の為にダンサーとして評価される。そのダンスは彼女の生命をも削るけど、それゆえかあまりにも幻想美。ダンスをする度に身体がボロボロになっていくロイの痛々しいまでの美しさ、ロイのダンスを初めて観て魅せられ愛してしまった伯爵ルイ(彼はアヘン中毒者でもある)も痛々しい。決してルイの愛情をロイが利用したとは思いたくないのだな~。
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