ブルックリンで40年暮らす老夫婦。
快適な老後のために、現在の不便な住まいの売却を決意。
内覧会を開き、新居を探し始めるのだが…。
夫のアレックス役にモーガン・フリーマン。
どんな職業人を演じても、ピッタリはまってしまうすぐれたアクター。
刑事（『セブン』）でも、スパイ（『RED』）でも、大統領（『インビクタス』）でも違和感無し。
本作でも、まさに長年描いてきた画家に見える。
そして魅力的なのは声。深みがあってあたたかい。人柄がにじんでいるよう。
この作品ではナレーションも担当しているけど、話の筋がスッとしみ込んでくる。
彼が出ている映画は吹替えじゃなくて、原語＆字幕で味わいたい。
妻のルース役にはダイアン・キートン。
ウディ・アレン映画の常連だったから、ニューヨーカー役はオーダーメードのように馴染んでる。
腰も背中も曲がってないし、シルエットがスッキリしてる。
若作りしてないのに、今でも充分チャーミング。
フリーマンと同じく、誰もが憧れるような歳の重ね方。
このふたり、役へのハマりぶりだけでなく、夫婦役としての相性もバッチリ。
物語は夫婦（めおと）漫才のごとく、ほぼふたりの会話劇として進行するのだが、両者のやりとりを観ているだけで楽しく、幸せな気分になる。
大切なのは器じゃなくて中身、houseよりもhomeなんだ…というメッセージが、観客の胸の中にさわやかに吹きこんでくるかのよう。
