JunIwaoka

ガールズ・ハウスのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

ガールズ・ハウス(2015年製作の映画)
4.0
2015.10.28 @ 28th TIFF

ただごとじゃないことが起こりそうな強烈なポスターのインパクトは裏切らず、流石は名作"別離"を生んだイラン映画である。日常にある些細なすれ違いによって負のスパイラルが止まらなくなるサスペンス映画で、なんといってもダブルミーニングなガールズ・ハウスというタイトルが重くやりきれない。結婚式前日、花嫁がなくなったという連絡の真相を巡り、前半は友人目線で外部から「さっきまで新居のカーテンを変えていた彼女になにが起きたのか」と追うサスペンス的展開と、後半は一転して新郎目線で内部から真相を知ることになる。テーマとされているのは、社会が大きく変動するなか世代間の価値観の違いによる軋轢。後から思うと前半の友人たちの行動も若い世代の謳歌したいという当たり前の価値観で、両親世代の禁欲的な価値観とのコントラストであったことが分かる。理解しがたかった意味深なラストシーンが意味することも、その後に聞こえてくるある音が、「実はオープニングでも聞こていたはずだよ」とQ&Aの監督の答えで腑に落ちて驚愕した。
こういう世代間の価値観の違いは日本でも日常的に起こりえることであって、イランの閉塞的な社会から変動していこうとする国の背景がより残酷にしてしまう。
JunIwaoka

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