ケロケロみん

ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来るのケロケロみんのレビュー・感想・評価

4.0
ベルリン・フィル、ウイーン・フィル、そしてアムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が世界三大オーケストラと呼ばれているそうでこの映画はロイヤル・コンセルトヘボウ創立125年を記念して世界30都市48公演行ったワールドツアーの公式密着ドキュメンタリー。

ブエノスアイレスのタクシードライバーはクラシック音楽を孤独な勤務の共として日々過ごす。
ヨハネスブルグの音楽教師は子供時代、バイオリンが弾きたくても貧しくて弓しか貰えず、レッスンを受けたくても黒人である彼に教えてくれる人がいなかった。幸い同じく差別されているユダヤ人の指導を受けることができた。今は危険な地域に住む若者を指導して素晴らしいバンドを作りコンセルトヘボウを歓迎する。
サンクトペテルブルグの老人は妻に先立たれひとりぼっち。スターリンに父を奪われ自身もドイツの収容所にいれられた経験を持つ。彼の一番楽しい思い出は12歳まで暮らした両親と祖母と暮らした日々で、祖母の愛したマーラー聞くと楽しい子供時代を思い出す。

スターリンの恐怖政治時代を暗喩した交響曲が凄い。シンバルで銃弾を、コントラバスで強制連行を予感するノックを表す。

全く音楽を聞かない、どちらかといえば無音が好きなわたしでも美しい音楽は心に響いた。