ミドリ

帰ってきたヒトラーのミドリのネタバレレビュー・内容・結末

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

開始5分、ヒトラーの滑稽な姿に笑う。
開始10分、ブラックだなぁと時々クスッとする。
でも開始20分を過ぎた辺りからは笑えなくなった。怖すぎて引いた。

これは映画という括りでいいのか、どういうジャンルなのかよく分からないな。
ブラックユーモア、SF、ドッキリ動画、風刺、ドキュメンタリー…。でもホラーより怖かった。

ドイツの街中で一般人へインタビューしたのは台本無しのアドリブだった、って。なのにあの反応って、ドイツ人大丈夫…?
撮影だろうが、ヒトラーのマネをしてる人間を好意的に受け入れて笑いながら写メを撮ったり、「ヒトラー大好き!」って言ったり…あれ叫んでたのはネオナチ団体支持者の集会だったのかな?
肖像画を描いている時「追い出したい。ドイツのためにならない。」と言っていたおじさんのような反応が大多数なんだろうなと思ってたんだけど、現実は違ったんだ。
「(オリヴァー・マスッチが)本物のヒトラーだったら支持するよ」って言葉に絶句した。

YouTubeの場面で女の人が言っていたように、事実ヒトラーは演説で徐々に人々の気持ちを掴んでいった。
当時のように浸透していく事だって常にあり得る。認知症のおばあちゃんのセリフと、最終的なザヴァツキの扱い、最後にTVクルーの問いへ女史が回答している内容と隣にヒトラーが座っているっていう皮肉がその可能性を示してる。
本気でヒトラーのような思想を持つ者が現れても断固拒否の姿勢を見せるんだろう、なんて楽観視はもう出来ない。今の各国を見ていて危機感を覚える人も多いはず。

「1933年当時大衆が扇動されたわけではない。私を選んだのだ。」
「なぜ人々が私に従うのか考えたことはあるか?彼らの本質は私と同じだ。価値観も同じ。」
このヒトラーのセリフは、好意的だった街の人たちの反応とリンクする。

前半と後半じゃ全く別物になってた。
この作品について調べたら、監督は「極右政党復活の危険性が常にあることを強調した」との事で監督が支持者ではないって事かと少し安心すると同時に、撮影時のエピソードを知ってドイツ国民の意識に怖さ倍増。

果たしてこの作品は警鐘になったのかな?

2017年:87本目


2017/03/14:スコア修正
内容は最後まで興味深く観てたし、ある意味よく出来てると思うから本当はもっとスコア上げたいんだけど、どうしても受け入れ辛いや。

2019/02/23:地上波放送にて再視聴
やっぱこっわ。
ミドリ

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