Ash国立ホラー大学院卒論執筆

帰ってきたヒトラーのAsh国立ホラー大学院卒論執筆のネタバレレビュー・内容・結末

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【失敗の本質】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「怪物め」

( ¯෴¯ )「私が?」

( ¯෴¯ )「なら怪物を選んだ者を責めるんだな。選んだ者たちは普通の人間だ。優れた人物を選んで、国の命運を託したのさ。どうする?選挙を禁止するか?」

「いや、あんたを止める」

( ¯෴¯ )「なぜ人々が私に従うか考えたことはあるか?彼らの本質は私と同じだ。価値観も同じ」

( ¯෴¯ )「私を撃つか?」


🔫 (′ω’ 🔫)バキュン!

……

|’ω’)ヌッ

( ¯෴¯ )「私からは逃れられん。私は人々の一部なのだ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━




前半はブラックコメディで笑えて、ラストのサヴァツキとヒトラーのやり取りは深い。想像以上に中身のある作品だった。
「笑うな危険」とあるけど、笑いの本質ってこういう政治的なブラックジョークでしょ。

最初はヒトラーの言動に疑問は抱かず賛成気味だったのに、ヒトラー本人であると発覚してからガチで殺そうとする。これは今のドイツや世界と同じだと思う。

戦前はイギリスやフランスさえも、当然国内の貧困層もエリート層もヒトラーを支持していた。だが、手の平返しでヒトラー=歴史の絶対悪と見る(ある意味では殺す)ようになった。



( ¯෴¯ )「なら怪物を選んだ者を責めるんだな。選んだ者たちは普通の人間だ。優れた人物を選んで、国の命運を託したのさ。どうする?選挙を禁止するか?」

と、本人はそのつもりはなくても、失敗の本質をヒトラーは述べている。ヒトラーは世界一公正で近代的と言われていたドイツの民主主義において、絶対的権力を獲得した。つまり、紛れもなく彼は人々から賛同を得たわけで、そいつらやそうせざるを得なかった当時の世界情勢に問題がある。

世界情勢については、「新世界秩序」(New World Order)が機能しているのである程度解決されたが、国民(投票者)の無能さに至っては未だ続く問題だ。



( ¯෴¯ )「なぜ人々が私に従うか考えたことはあるか?彼らの本質は私と同じだ。価値観も同じ」

ヒトラー自身が自分は特別ではなく、あくまで人々の心に寄り添ったに過ぎない、と自身の政治戦略を述べている。



( ¯෴¯ )「私からは逃れられん。私は人々の一部なのだ」

そして、投票者が料理番組や馬鹿なバラエティをばかりを観たり(テレビはあくまで例え)して思考停止しているようでは、失敗を繰り返す、はたまた第2第3のヒトラーが現れるだろう、と問題提起をしている。



人類が新たなステージへと到達するには、自らの脳みそに巣食う無能さと罪を自覚し、学習棄却(かつて学んだ知識を捨て、学び直す)を通して、自己革新と合理性を追求する他ない。
ある意味では戦争も指導者選び(選挙)も失敗の本質は同じだ。