ピュンピュン丸

帰ってきたヒトラーのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.8
ここに現れた『ヒトラー』は、戦後マスコミによって極端にデフォルメされた虚像だ。こんなのがヒトラーなら、恐るるに足りない。充分に皆がその狂気に気付き、警戒できるからだ。現実のヒトラーは、おそらくもっと繊細で狡猾、人心掌握の天才だった。そして、総統たるヒトラーは、ドイツ国民のフラストレーションを背景に、ドイツ国民の拍手喝采の中から救世主として誕生したのだ。
彼を倒すことになるチャーチルが、なかなかイギリス国民や英国議員の支持を得られず、英国がその危機に瀕するまで首相になれなかったこと、そして在任中も何度も首相の地位をおろされそうになったのとは対照的だ。
この映画をみると、『ヒトラー』という歴史上の人物が、今自由主義世界のなかで、どのような人物像としてとらえられているのかがよくわかる。
それにしても、ヒトラーの名で映画検索すると、ものスゴい数の作品があがってくる。実在した人物では、イエス・キリストをもしのぐ。対抗できるのは「ゾンビ」くらいか(笑)。タイトル上になく登場人物として出演してるのも含めたら、もっとスゴいことになるだろう。日本映画で対抗できるのは『織田信長』くらいだろうけど、『ヒトラー』の敵ではないよな。😅