こえ

エアリフト 緊急空輸のこえのレビュー・感想・評価

エアリフト 緊急空輸(2016年製作の映画)
4.7
IIFJ2016にて、3本目。
90年のイラクによるクウェート侵攻(のちの湾岸戦争のきっかけ)でクウェートに閉じ込められ、難民となったインド人が17万5千人。イラクの将校に特別に認められた主人公ランジートは在クウェートの実業家で、利益のためならなんでもする「仕事の鬼」だったけど、彼はその17万5千人を全員助ける決意をする。実話とのこと(実際はランジートに当たる人物は2人)。
インド人難民をどこに避難させるか。本国省庁との交渉。イラクとの交渉。民族対立。戦争を起こすきっかけの馬鹿らしさ。船でなんとならないか。陸路では?
これだけの仕事をした人も一人の人間で、苦しみ、葛藤し、そして全てを引き受ける。
パニックものの定石を思わせるようなストーリー展開も、実話だと思うと怖ろしい。
もちろん、すごいのは彼だけじゃないのだろう。支えた妻、イラク側の大臣(ランジートと通じてる)、インド本国の外務省のいち役人、最終的に危険を冒して飛んだエア・インディアのパイロット達、または文句ばかり言ってたジョージとかいうじいさん(難民の一人)も、インド人難民に紛れ込んだクウェート人の若い女(子持ち)も。
『ミルカ』もそうだったけど、実話を重んじて、そして映画として感動作に仕上げられる力強さを感じた。
余談だけど、待ちに待った飛行機が飛んだこと、着陸したことの重大さ、カタルシスは個人的に経験してるので(その比じゃないけど)、我が事と重ね合わせて、これまた泣いてました。
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