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パーティで女の子に話しかけるにはのneroのレビュー・感想・評価

3.0
予告ではパンクボーイの脱チェリーを描くせつないティーンズドラマ系かと思ってたら、なんとまあ、異種コンタクトSFラブストーリー???

舞台は1977年、エリザベス女王即位25周年に湧くロンドン。若者のメインストリームはパンク! パンクな生き方に憧れる学生エンは、仲間2人とギグに紛れ込むが相手にされない。迷い込んだ妙なパーティ会場でエンは美少女ザンと出会う。”コロニー”と呼称する6つのグループごとに不思議なダンスや触れ合いに興じる彼ら。エン達も巻き込まれトリップしていくが、彼らは地球人類ではなかった。観光なのか逃亡なのか、目的はよくわからない。48時間後には(地球を)去るという状況で、ザンは許されない現地人との接触を宣言してエンと街に脱出する。

当時ロンドンを席巻していたパンクムーブメントど真ん中の若者たちと、カルトなエイリアンチームとのコントラストが面白い。特にスペイシーでアヴァンギャルドなコスチュームは、クレージュなどの当時のパリコレを思わせる。確かに70年代のカルチャーが放っていた空気感を存分に楽しめたのはうれしい。
ただ、サウンド面は結構新しいんじゃない? ザンがステージで披露するパフォーマンスを観ていると、ラップってパンクの延長にあるのかもしれないと感じたりもして。そこに英米の関係性も透けて見えるってのは穿ち過ぎか? パンクもラップも外郭ちょっと触れたくらいの体験しかないからなあ。

ドラマは、2つのチームがぶつかり合って、ちょっとだけ分かり合い、彼らは去っていく。言ってみればそれだけ。まあ秩序と自由とか、群体と個体とか、相克と融合に関わる意味付けもできるんだろうが、メインテーマはそこにはないよね。
SFとして作られているわけではないのだろう。特撮やCGなどはほとんどなく、ビニール/プラスティックをメインにしたエイリアンのコスチュームだけで宇宙感を表現していると言っていい。もちろん予算的にも低いのだろうが、チープではなく、存在の異物感は充分感じられた。エンディングのオチもスマートで好み。
ボウイの「地球に落ちてきた男」を思い浮かべたりもしたが、原作がニール・ゲイマンと知って納得。「ドクター・フー」の空気に近いね。SF風味のファンタジーなわけだ。知らなかったが「コララインとボタンの魔女」も彼の著作なんだ。

ところで、エル・ファニングって可愛いの? 「ネオン・デーモン」とかでも絶対美少女として扱われていたが、正直よく解らんのよ。
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