Utopia

パーティで女の子に話しかけるにはのUtopiaのレビュー・感想・評価

4.8
パンクに青春をかける少年と他の星から来た反抗的な少女が、ボタンを掛け違えながらもそれでも恋に落ちる異次元級の小さな恋物語。

パンク精神にチープなSFイズムのシュールさ、独善的なカニバリズムに女王即位で未来に希望を見出すかつての英国。

まるで合うはずのない散りばめられたエッセンスは、混沌とした映画の背骨として組み立てられおり、製作者側の敬意が知れて安心して見ることが出来る。

身分どころか生まれた星すら異なる2人はロミオとジュリエットのような悲劇性を帯びつつも、なぜか微笑ましくでコミカルで見守りたくなりつつ、それでいて、やっぱりタイムリミットに向けた刹那もあって、恋の切ないスピードは増すばかり。

とにかく細部に至るまで、当時の世界観の構築が素晴らしく、エンの母親が露呈するアメリカへのコンプレックスや、ニコール・キッドマンが驚く変貌を遂げたパンクシーンのゴッドマザー・ボディシーアの懐古厨っぷりは、まさにあの当時のイギリス国民の心情を反映しており、だからこそうら若き2人の恋がより一層と輝くものとなる。

物語の終盤は規律に縛られ息苦しさを抱えた異星人達と、規律を破って生きる反骨精神に溢れたパンクキッズの衝突。互いの譲らぬ矜恃は新たな時代を築くのか否か。
Utopia

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