ゆん

ブラッド 血肉のいけにえのゆんのレビュー・感想・評価

ブラッド 血肉のいけにえ(2011年製作の映画)
4.2
量産されるゾンビ映画は、既に素晴らしい作品が多数存在するため安易なパロディに陥りがちであり、知らぬ間に『鉄則』とか『ゾンビ映画はかくあるべし』などという残酷映画にとって最も唾棄すべき思考に取りつかれてしまう。いかに先人たちの作った常識を破壊して、ジャンルから自立した物語を作るか。という問題を本作は驚きの方法で解決し、見事本作でしかあり得ないオリジナリティ溢れる唯一無二のゾンビ映画を作り出した。

人間がゾンビと化し、荒廃した世界。そこではゾンビ肉を食すのが当然となり、それによって(?)口から消化器官が出た奇形ゾンビと化し、壊滅状態となっていく人々を描く。
まず特徴的なのが、セリフが圧倒的に少ない上に説明的な構成というものが一切考えられていないので非常に理解が困難で、さらに主人公や物語を一本の軸に絞ることをせず、話があっちに行ったりこっちに行ったり支離滅裂なので不思議な夢物語を聞いているような地に足の着かない感じがある。しかし発想自体は幼稚なので不可解でありながらも難解ではないという不思議ワールド。例えば全編日本刀でゾンビとヘロヘロ戦うなどといったピュアな面白さを持っている。

低画質に不必要なほど揺れるカメラ(メイキングで見たらやはり監督はカメラを固定するという発想が無いようだった。若者のスマホ撮影の方がプロに感じるほど。)ここは思いきって後半、チャプター7くらいから観始めてしまっても良いと思う。なんと言ってもラストの怒濤のゴア合戦、超オリジナルなクリーチャー達のエクストリームな戦いこそが本作の魅力なのだから。この最高に下品で泥臭い過剰な人体破壊のために、本作の至らない点はすべて愛すべきものたちに変わるはずだ。

最も酷いシーンとして、女性の尻を割き、取り出した腸をしごいて大便を放出させる場面がある。
その大便を口で吸う男を演じたのが、監督ブライアン・ポーリンだそうだ。執拗な胎児虐待へのこだわりといい、個人的なフェチを感じさせる変態的雰囲気が堪らない。
ゆん

ゆん