1940年代から『ヴォーグ』などの有名ファッション誌のフォトグラファーとして活躍したソール・ライター。
しかし、芸術性よりも商業性が強くなった業界に馴染めず表舞台から姿を消します。
2006年に数多くの写真家を手掛けるシュタイデル社から発売された初の写真集が大反響、再び脚光を浴びることに…
物が溢れかえった彼の仕事部屋…
自ら「墓場」のような部屋だと自嘲します。
とてもフツーのお爺さん…屈託なくケラケラ笑う姿は、名声を手に入れても変わらない達観ぶり、無欲さ、自分らしさを見せ、眩しく映ります。
彼の写真はとてもシンプルな背景に、差し色のような鮮やかな色彩が入ります。また、被写体の手前にオブジェクトを置いたり、フィルターがかかったりするのも特徴…覗き見感覚を味わえます。それらは、彼が画家を目指していたこともあり、とても絵画的…画角も素晴らしい。
何より好きなのは彼の写し出す雨や雪。
彼は「雨粒は何かある。雨粒に包まれる窓の方がよっぽど有名人の写真よりも面白い」と言います。
街歩きが大好きで、まるで初めてカメラを持ったお爺さんが無造作に写真を撮っているかのよう…
だからこそ、被写体になる人たちは無防備に素敵な表情を見せるのでしょう。被写体を通してソールの人柄も写し出されるよう…ソールマジックです。
彼の紡ぎ出す言葉は心に沁み入ります。