suke18

ひと夏のファンタジアのsuke18のレビュー・感想・評価

ひと夏のファンタジア(2014年製作の映画)
5.0
とくに最後らへん、夏の夜の空気や恋愛のリアリティが充満しててめまいがしかけたくらい

韓国の映画監督がシナハンのために田舎町を訪れたという設定の前半パートでは、シネマヴェリテ風(まあ実物見たことないんだけどね)のインタヴューを通してかき集められた断片(材料)が、構成されることなく置かれていく。
その監督がシナハンを経て、通訳の女の子とかつて俳優になりたかった役所のお兄さんを起用して撮ったのが後半パートということになってる。
前半パートで、通訳の女の子と監督は、役所のお兄さんをいい男だったねと言う。それを受けてか、後半パートでは、女の子とお兄さんは刹那的だけど穏やかな恋愛関係として構成される。
前半パートで、町を案内してくれるおじいさんは、現役時代に初恋の人にそっくりな韓国人の子を見つけて声をかけ、しばらく付き合ったんだ。と思い出を語り、
後半では柿農家になった(役所の)お兄さんが観光案内所で旅行客の(通訳の)女の子に声をかける。

もちろん全てはフィクションであって書かれているから、この二つのパートの関係性は材料-構成物というひとつの関係には収まらず、互いに交わらない並列する二つの時間となって互いに干渉し合う。その点すごくホン・サンス的。ただ、ホン・サンスが軽く楽しく気まずい喜劇なのに対して、この映画における反復と干渉は、切ない空気をひたすらに充満させていく、あやうく窒息寸前まで。

河瀬直美は色々人の紹介など(だけ)を取り計らったんだろうなと思います(悪口)
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