菩薩

ワイルド コンビネーション:アーサーラッセルの肖像の菩薩のレビュー・感想・評価

3.5
「孤高の天才」なる称号がこれほど似合うアーティストはやはりアーサー・ラッセル以外に存在しないような気がする。青年期の家出、ヒッピー文化・神秘主義への傾倒、コミューンからの阻害、音楽家としての出発、現代音楽からディスコへの接近、HIV感染、そして故郷への憧憬を抱いたままの逝去。Dinosaur L他多数の名義を用いての隠密的活動、そして音楽史上に残る傑作「World Of Echo」及び「Calling Out Of Context」への道程を、彼の周辺人物及び家族の証言と共に紐解いて行くドキュメンタリー。ジョン・ケージへの言及や、本人の名を差し置いてこの作品のキャストに名が挙がるフィリップ・グラス、デイヴィッド・トゥープ、アレン・ギンズバーグなどの証言はこの界隈が好きな人からすると垂涎物だろうが、まぁはっきり言ってターゲットは相当狭い作品かと思われる…。何はともあれまずは上記のアルバム二枚を、欲しい音楽が容易にに手に入る時代だからこそ必聴、アーサー・ラッセル何度目かの再評価は果たしてなるか…?
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