NinaSinnerman

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のNinaSinnermanのレビュー・感想・評価

3.9
ドランの造る画にはゾクゾクしてしまう。
被写体がニットであれ子どもであれ、汚い裏路地も、なんであれ、官能的と言う言葉の昨今拡く用いられる意味ではなくて、本来持っていた意味に近いような、なんとも五感に美味しい画。

内容はいつものドランをトレンブレイ君やサランドン、ナタリーなど錚々たるハリウッド役者たちを使ったことでマイルドな仕上がりになっていっそアカデミー好みのような出来に。
構成はインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアみたいで、最後の画ヅラはマイ・プライベート・アイダホを観てるのかと思った。そんなふうになんか90年代を感じさせるのも上手い。
音楽は奇を衒わない上にボーカルモノを多用するのもいつもの如くだけれど、この人はホントに音楽を好きでちゃんと聴いて拾って自分のものにしているんだなと思う。
これもドランを観るといつも思うこと。

最近「永遠とは一瞬のこと」という言葉がたまたまやたらと目に耳につくことが続いていて、この一本でまたダメ押しのようにその言葉が響いたので、そんな日々を大事に送らないと、と感じて切なくも愛しく、目も癒されて正月休みで緩んだメンタルがちょっと引き締まる一本、でした。
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