トレンティン

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のトレンティンのレビュー・感想・評価

2.5
“幼き日、僕は『タイタニック』を観てレオナルド・ディカプリオに夢中になった。そして、憧れの彼へ手紙を書いた。これは、僕自身の経験から生まれたある少年と美しきスターの物語。”

と予告にあるほど、極めて私的なストーリーを描いたグザヴィエ・ドラン監督の作品。

芸能界においてアイデンティティを確立することがいかに難しいか、そして芸能界で獲得した名声がいかに本人や周囲に影響するかを描いている。

作中で”不寛容の物語”とあるように、自分らしく生きづらい芸能界。つまり、ゲイと公表することはとても勇気がいることで、公表できない人が多くいても不思議ではない。

そう訴えたいのはわかるのだが、どのキャラクターにも感情移入ができなかった。マイノリティを描く際に必要な感情移入への仕掛けがなかったように感じる。

鑑賞直後はともかく、私には何年後も記憶に残っているような作品にはなっていないだろう。
トレンティン

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