きー坊

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のきー坊のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

2020年29本目。グザヴィエ・ドラン監督最新作。filmarks様の試写会にご招待いただき、ありがたく鑑賞📽🙇‍♀️

親子間の関係や、LGBTQを巡る複雑な関係にフォーカスしているのはそのままに、従来に比べて画に語らせるよりはセリフで説明することでストーリーを紡ぐような構造。グザヴィエ・ドラン入門編という前評判に納得。過去作に比べたら、シーン間の余白を埋める作業をそんなに必要としなかった気がする。1度もドラン作品見たことない人には、本作鑑賞→歴代作品鑑賞の流れが入って行きやすいかもしれないと思った💭
印象に残ったシーンなどを以下で記録しておきたい🖊

【好きなシーン】
1.ルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)とお母さん(ナタリー・ポートマン)のロンドンでの1シーン
シンプルに好き!ルパートの作文に乗せてStand by meはズルいわぁとなってしまった🤦‍♀️

2.バーバラ(キャシー・ベイツ)のセリフ
試写会後のトークショーでも話題になっていたけど、「今まで大手代理店の仕事をオファーされた事もあったけど、私はこの仕事を選んだ。自分に嘘がつけないの」みたいなセリフは刺さった。個人的に、本作は「嘘」というワードにまつわるセリフが印象に残ることが多かったけど、このセリフもそのうちの1つだった。

3. 大人になったルパートが、迎えに来たパートナーと2ケツして去って行くシーン
ドノヴァン(キット・ハリントン)との交流をジャーナリストに吐露した後、あのような感じで立ち去るルパートは、きっとドノヴァンとは違い、自分のアイデンティティに都度向き合い、自分らしく生きていくんだろうなという希望を感じて救われた😌

【しんどかったシーン】
ドノヴァンが厨房(?)で手紙を書いているシーン
キャリアや愛情など、ドノヴァンがアイデンティティを次々と手放したゆえに虚無感に満ちて何か辛かった。座り方からして魂抜けてるような座り方だったように感じる。あのシーンで書いていた手紙について考えを巡らせると、余計悲しさが増す。

【ファッション】
全体的にスタイリング最高だったけど、ドノヴァンが実家に戻った時のファッションがシンプルでめちゃくちゃツボだった🥺
個人的に、今年鑑賞した劇場公開作品で『ジョジョ・ラビット』と同じくらい、作中のファッション好き💯

その他、試写会後のトークでも話題になってたけど、ドノヴァンの人物像って輪郭がボヤけていた感じがした。だけど、他のキャラクターがよく語り、エモーショナルな場面があった分、ドノヴァンの人物像はボヤけたままで良いと思う🧐

ストーリーはもちろん、ファッションや音楽、撮影技法など、多角的に楽しめる作品。見た後の感想戦も楽しめそうな1本🎬
きー坊

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