AKI

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のAKIのレビュー・感想・評価

4.0
ドラン初の英語映画ということで、これまでの作品とは一味違います。それでも天才ドランは裏切らない。やはりあなたは最高です

人気俳優に熱狂的に憧れる少年がファンレターを書いたらお返事が届き、いつしか文通するように...という話ですが、何でもドランがタイタニック時のレオ様にファンレターを書いた思い出をヒントにしたとか。男の趣味かぶって何だか嬉しい。

物語は小説家&俳優になった少年の回顧録として話が進みます。

人気俳優が本当の自分を見失い、正直に生きれないことに苦悩する話
人気俳優との文通を宝物のように大事にしてた少年が現実世界に傷つきながら夢を追う話
最愛の息子を理解しきれない少年の母親の話

が主なストーリーライン。
私は特に人気俳優の恋愛(若手俳優との)が萌えに萌えました。
相手役はドイケメンというほどではなく、品のあるいい人って感じで、あぁ、本気なんだなと納得させられる。
そして、その相手役がすんごくまっとう。生き方が爽やか。
人気俳優は気づくんです。自分を見失ってはいけないんだと。嘘で塗り固める人生に何の意味もないことを。でも気づくの遅かったんだな。

「ありのままのでいればいい」と言うママにも「I CAN'T」と答える人気俳優。
このI CAN'Tという言葉、すごいいっぱい言ってるんです。何故「できないよ」なのか観ている側は理由が見えない。何故なら見えないもの(世間体とか)に怯えているから。

人気俳優と文通を通じて少年はきっと学んだんでしょう。「彼が何をしたかではなく彼が自分に与えた影響が大事」というようなセリフがあったように。人気俳優ができなかった自分を大切にまっすぐな愛に生きる少年の姿で幕を閉じます。

その笑顔がね、幸せそうなんですわ。
ゲイを公表しているドランですが、カミングアウトできずに悩んでる人の背中を押す映画でもあるでしょう。
作品を通じて彼の哲学や人柄が伝わるような映画でした。
AKI

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