コーディー

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のコーディーのレビュー・感想・評価

3.9
時代の寵児として人々が心酔する美しきスター、その超人間的な殻に包まれた極めて人間的な苦悩。立場の型にはまり彷徨う心を浄化へ導く少年との交わりは弱さに寄り添うも時にすれ違う。愛を知りつつ簡単には繋がれない人と人の拗れを多角的に見つめるドラン節全開!

と、想いは一貫してるものの世界や家族に対し好戦的に抗ってる感のあったドラン作品の中ではとても普遍的な印象。牙剥くのも疲れたのかな〜なヤンチャが鳴りを潜め弱さが前面に出てる感じにはやや寂しさも。けれど愛憎への折り合い、言葉にならぬ想いを何とか破ろうとする気概には今回も魅了された。

どんな影響が自分らしさを解放するかを良い悪い重大も些細も織り交ぜ魅せるドランの目まぐるしい世界はやっぱり美しいし、巧みに切り取る映像や音楽でもって粋に彩る。
〝Bitter Sweet Symphony〟が混沌を柔らかく包む感じは堪らなかったし、そんな監督の無垢な感情を体現するジェイコブ君が素晴らしい。

まあ多少展開が唐突に思えるところもあったので、こうなると丸々カットされたジェシカ・チャステインがどんな感じで絡んでたのかも観たくなるな〜