Ayakashd

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のAyakashdのレビュー・感想・評価

3.3
おや、退屈だな。ドラン特有の、あのヒリヒリする、ズキズキする、痛みが感じられない。と思って映画館を出てきたら、ドラン作品史上最も評価が低いのね。なんでか説明できないけど、わたしは納得。いつものあの、あまりの美しさと切迫に、胸が苦しくなる感じはなかった。

けど、キット・ハリントンの魅せ方はとても良かった。ジョン・スノウの時にはとても感じられなかった色気がにじみ出てて、こんなにいい男だったのか、と思った。無造作に見える着こなしや、無頓着にくくったりかき乱したりするあのカールした髪、そこに宿る孤独がめちゃくちゃ色っぽかった。彼が繰り返す”I can’t.”の悲しさはとてもよかったな。それに、彼の家族の…怒りや悲しみと愛おしさが同居してギリギリ壊れずにいる感じも、ドランらしくてよかったし。

ルパートの方のストーリーが、イマイチ乗り切れなかった要因かもなぁ。手紙の何がルパートとジョンにとって大事だったのかがイマイチ伝わってこなかった。当時と現在を行き来するプロットも、すこし煩かったかも。
タンディ・ニューマンもとてもよかったのに、最初の態度からして、ルパートにあそこまで共感するに足る話が聞けたようには思えなくて、タンディの笑顔が唐突に見えた。
ラストのバイクのシーンは美しくて素晴らしかったけど。
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