YACCO

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のYACCOのレビュー・感想・評価

3.5
見ていてどうしたってリバー・フェニックスが頭にちらついた。
そもそも、ドランがリバー・フェニックスのことも『マイ・プライベート・アイダホ』も好きだと公言しているので、恐らく多くのインスパイアを受けていることは間違いないだろう。
それを、自信が体験したことをもとに、11歳の少年との対比をとおして描くのが今作のドランがとった手法で、その少年を『ROOM』や『Wonder』での名演が記憶に残るジェイコブくんが演じる。
そして、映画の題名にもまっているジョン・F・ドノヴァンを演じるのは、キット・ハリントン。『ゲーム・オブ・スローン』は見ていないので初めてだったのだが、苦悩する若き人気俳優もとても良かったと思う。そもそも、ドランの映画はキャストがいつも豪華だ。これだけの人が彼の映画に集まってくるということがまず素晴らしいと思う。
相変わらずの顔によるアップ、後ろ姿を追いかけるショット、多くの説明は省き見る側に委ねる部分が多い映画だったし、音楽のチョイスも秀逸だ。とはいえ、いかにもというドランの手法は幾分抑え目な気もした。そして、それが私には少し物足りなく感じた。
ドランはあるインタビューで「僕らは本作を通して、この業界においてアイデンティティを確立することがいかに難しいかを伝えたかったんだ。自分らしくいること、ありのままの自分を受け入れることがどのような結末をもたらすのか、どんな犠牲を伴うのかをね。それはもちろんゲイであることを指している。」と言っている。
新しい映画を作るたびになにかチャレンジをしている姿勢は個人的には応援したいし、それを楽しみにもしている。今作も好きか嫌いかで言えば好きなのだが、何か物足りなさも感じてしまうのであった。でも、それは今作のジョン・F・ドノヴァンのいる世界が自分がいる世界とは遠く離れた世界だと感じてしまったからなのかもしれない。それが今ドランがいる世界なのかもしれないが。