なまさかなクン

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のなまさかなクンのレビュー・感想・評価

4.7
間違いなく今年のベスト・フィルムの1本。それだけは断言する。

過去の自作からの引用による見事なビルドアップ。まずその点を評価せずにはいられない。

どのシーンかは忘れたが、これ以上引き延ばすと過剰な感情表現になるどころか、不必要な被害者意識を感じさせる一寸先で、サラッと場面を転換する編集。これまた見事。

過去最高としか言いようのないナタリー・ポートマン。今年のベスト・マザーの1人。と、ベスト・サニーのジェイコブ・トレンブレイのまあキュートなこと。により、今年のベスト・マザーコンプレックス・フィルムの1本でもある。

いつもながらの音楽の使い方の感度。特に架空のTVシリーズのエンディングは、これは実在するのでは? と錯覚してしまう。

鑑賞後、Wikipediaをサラッと拝見し、海外の批評家の今作に対する姿勢のだらしなさには閉口。これがひとつの時代の変わり目の証。彼らの役目は終わったとしか言いようがない。

タランティーノでもフィンチャーでもない、そんな天才監督がいよいよハリウッドも視野に入れ始めた。そんな記念碑として後々語られるであろう。
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