エディ

ハンガー・ゲームのエディのレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
2.6
文明が崩壊した近未来、独裁国家への忠誠を誓わせるため、毎年12の地域から生贄として選抜された2名の男女が、閉じた森林の中で一人になるまで殺し合いをさせる姿を描いたサバイバルアクション。

ローマ帝国時代にコロシアムで奴隷同士の戦い合いをさせて楽しんだようだが、この映画の設定はそんな感じだ。過酷な奴隷地区のガス抜きと、支配する都市との従属関係をはっきりさせるために、毎年各地区の代表者を抽選で選び、一人になるまで殺しあいをさせているハンガーゲームをしているのだ。

ヒロインであるカットニスはまだ幼い妹が選ばれてしまったので咄嗟に代理で志願して競技会場に乗り込む。同じ地区からは同級生のピーターも選ばれ、二人は地区代表者としておめかしをされ、戦闘教育を受け、ハンガーゲームへ送り込まれる。。。

まず、ハンガーゲーム自体があまりにも極端な設定なので、いまいちリアリティを感じることができない。ガス抜きと書いたが、地区の人たちは代表で行った若者が殺されると中央に怒りを感じているので、全くガス抜きになっていないのだ。一方の支配側も被支配地区の恨みを買うようなそんな行事を積極的にやる意義付けも感じない。

なのに、大観衆の中で人気司会者が楽しそうにゲームの進行をトークしていくので引いてしまうのだ。

いまいち入り込めないのは、主人公たちのがんばりも感じられないからだと思う。

この映画、各自が生きるためのスキルを必死に磨いた過程がほとんど描かれていないので、実際のハンガーゲームでの戦いが鬼気迫るものではないのだ。

ドラゴンボールが魅力的なのは、ステップが上がるごとに修行シーンの苦しみを丁寧に描いているからだし、北斗の拳もそうだろう。ロッキーだってなんだって、未熟な若者が主人公のアクション映画は、その主人公が必死に修行してスキルを身につけ互角に戦うから共感するのであって、なんだか判らないけど、うまく生き残っちゃいましたってだけでは共感できない。

そして、致命的なのは、肝心のハンガーゲームのルールがどんどん変わってしまうことだ。日本の直ぐ近くに外交のゴールポストを動かす国があって日本人が嫌な気分になっているけど、このハンガーゲームは、まさにその気分になるのだ。戦っている舞台のルールが変わってしまい、勝ちそうになったらゲームの競技場を管理しているオペレーターが若者たちにミサイルや炎をぶちかましてくるのだ。。。

設定不自然、主人公たちの修行シーンがわからない、バトルのルールがやっている最中に変わってしまう。。。

何をとっても不満な映画だ。

この映画はこんな設定にして何が言いたいのだろう?若者が生き残るには小ざかしいことを覚えるということか?真っ当に戦って居てもゴールポストが突然動いてしまう理不尽を感じるということか?

金が掛かっているのはわかるけど、変な映画だなと思う。
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