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ハンガー・ゲームのkyonのレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
4.0
『ハンガーゲーム』、ファッション映画の枠からスルーしてたんだけど、読んでた本に重要!って言われていたから観たら確かに、とびっくりしたシリーズ。笑

怒涛に完結編まで観ました。
ジェニファー・ローレンスの出世作かな?本当『レッド・スパロー』でも思ったけどファッションをめぐる複雑なプロットやアクションにすごくハマる演技派や…。

やっぱりこの作品で印象的だったのはメディアがテーマの1つなところ。

近未来のアメリカは独裁国家に。
権力を握る首都キャピトルは12の地区を掌握するために毎年ハンガーゲームという各地区から選出された男女24名が殺し合う、ハンガーゲームを主催しテレビ中継している。

キャピトルの裕福な住民たちにとって娯楽の意味合いも持つハンガーゲーム。まさにディストピア的世界。
だから国主催の殺し合いのサバイバルゲームに買って人生やり直したい!贅沢な暮らししたい!とかそういった積極的な野心は一切なくて、主人公カットニスは自分の欲望に消極的なんだよね…。偶然選ばれてしまった妹のために自ら志願するしかなかったカットニス。この家族を守るというテーマは後にかなり彼女の生き方を表すことになる。

そんな彼女が1作目では、ハンガーゲームにおいて、メディアを通してカリスマになる(本人の意思とは別で)ってところがまずはハイライト。

ここでのファッションは本にも書いていたけど、キャピトルと地区住民たちとの不均衡な状況を視覚化することと、どのような印象操作で”カットニス像”を観客に植え付けるかっていう役割。

カットニス含む地区の住民たちはほとんどが寒色のブルーやグレイ、または汚れた服装で素材もコットンがメイン。
対して最初からキャピトルの世界観はエフィーの登場から明らかで(むしろエフィーのインパクトによってキャピトルの構造を瞬時に理解する)ショッキングピンクのシャドウ、なんがいマスカラ、口紅、パウダリーすぎる白い顔、同じピンクのスーツ…過剰で誇張されたエフィーみたいな格好がキャピトルでは当たり前。その時間と過剰な豪華さを対比して見せてるから、多分台詞なしで視覚的に見てもこの対立構造はわかる。

で、キャピトルでのマックイーンデザインの衣装もちらほら。
特に開会式と選手お披露目のパレードはまさにファッションショーだし、各地区代表それぞれにスタイリストやメイクさんがついてイメージを形作る感じは観ていて面白かったな。創作を観る楽しみに近い。

スタイリストのシナすっごい好き…。

結構ハンガーゲームのゲーム自体よりこのメディアにおける印象操作の部分が終始あったのが特徴的。

「着る」と「着せられる」が上手く表現されていて、自分たちがただそこにいたから着ているっていう状況(キャピトルも地区も)、何者も自分たちの装いの根源に疑問を持たない構造がこのパネムという独裁国家の構造と親和性をもたせる。ラストはカットニスに想いを寄せるピーターには切ない…。