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ハンガー・ゲームのsiaのレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
3.1
ディストピアな世界観で繰り広げられる、少年少女たちの生き残りを懸けたハードなバトルロイヤル……を期待してはいけません。
良いシーンもあるんだけど、それ以上に突っ込みどころが多い作品です。

この手のサバイバルゲーム物の一番の醍醐味は顔見知りの相手や親しくなった人物を殺さなくてはならないことに葛藤する姿にあると思うのですが、そういったものが描かれることはありません。
参加者たちのほとんどは顔もわからないくらい影が薄く、たまに主要っぽいキャラクターが現れても主人公が殺さなくてはいけない状況になる前に勝手に退場してしまいます。

代わりに描かれるのが唐突なラブロマンスです。
その恋愛ドラマ自体も、吊り橋効果で無理やりくっつけられたようにしか見えず不自然です。少なくともこれで謎のスポンサーたちが納得するとは思えません。

なにより肝心のゲーム自体が主催者側の胸三寸で振り回されてしまうのが残念です。
最初に決めたルールをその場で変更したり追加したり、やってることが行き当たりばったりすぎます。
見たいのはあくまで人間同士の戦いなんだから、わざわざ障害を投入してゲームをかき回されるのも興ざめです。
命懸けのゲームなのに運営がグダグダだとせっかくの緊張感が削がれてしまいます。
我々視聴者以上に、作中の観客たちはこんなゲームを見せられて満足しているんでしょうか。

他にも、女の子が主人公に懐いてきた理由も謎だし、一人しか生き残れないサバイバルで和気藹々とチームを組んでる奴らがいるのも違和感があります。
その時点での生存者の数がはっきり示されないので、ゲームがどのぐらい進行しているのかも最後までわからないです。
たぶんだけど、原作ではちゃんと説明されているような部分を映画では端折ってしまったのかなという印象を受けました。

全体的には前半の余計なパートを省いて2時間ぐらいでまとめても良さそうな内容でした。
世界観も興味深く、序盤の志願シーンなど盛り上がる場面も多かっただけにちょっと期待はずれだったかな。
とは言え結末が気になってなんだかんだ最後まで見れたので、暇な時に軽く見る分にはまあまあ楽しめる作品なのかなと思います。
SFラブロマンス系が好きなティーン層にはウケるかもしれない。
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