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風櫃(フンクイ)の少年のmingoのレビュー・感想・評価

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)
4.2
東京フィルメックス2015にて鑑賞。
侯孝賢監督本人×蓮實重彦という最強感半端なかった…現存する世界最強映画人の終結かよ…て隣にいるゴズリングと共に唾を飲んだ…

それはそうと侯孝賢の我がベストの誕生です。胸が苦しくなるほどの強烈なノスタルジーと淡い恋心と友情は大の大好物。スタンドバイミーをオールタイムベストに入れちゃってるダサ坊わたくしは男子の友情ものには心の底から弱いのであると痛感。

注意しておきたいことは本作は決して楽しいことは起こらないということ。どちらかと言うと、孤独や虚しさに重きを置かれて描かれている。家庭での居場所の無さや世間からの疎外感や負け犬感が自己嫌悪や苛立ちを誘発し、ほんの些細な一瞬の感情の起伏が観るものを刺激する。心情描写とはこのこと。

また少年の親父は頭にボールが直撃し障害になってしまったのだが(このシーンは北野武の3-4×10月にしか見えない)、それとは裏腹に少年たちは愛情表現として終始頭を小突きあっている。つまりは愛情を用いて、葛藤する現実を抜け出す表現として描かれているのも面白い。

そして本作の1番の売りは高層ビルの広い窓からの景色が映画そのものというサプライズ演出。天才。「映画もある、カラーでワイドだ」こんなポン引きのおっさんになら騙されても良いと思ってしまった自分がいる。
すべての映画の中で映画的に嬉しく素晴らしい魅せ方3本の指に入る大傑作。
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