「ブラック・スキャンダル」でジョニー・デップがハゲヅラで熱演した実在のマフィアのボス、ジェームス“ホワイティ”バルジャーのドキュメント。
「ブラック・スキャンダル」ではFBIとの20年の長きに渡る癒着が露見し、16年の逃亡生活ののちタイホされるとこで終わりましたが、今作ではその後の裁判を通じて警察組織の腐敗が暴かれます。
市警察・州警察はおろか、FBIにまで金を渡し情報提供を受けていたと主張するバルジャーと、あくまで情報提供者として匿っていただけで、その後一部が不適切な関係に発展してしまったとするFBI。
日本の任侠の世界と同じく「チクリ」を最大の恥と感じるのか、
殺人をはじめあらゆる罪を認めながらも、頑なに「情報提供者だったことは一度もない」と否定するバルジャー。
一方で、コノリー捜査官と周辺一部の汚職として片付けたい思惑が見え隠れする警察の暗部が見え隠れ。
真実はさておき「ブラック・スキャンダル」で描かれてたよりは、上層部まで巻き込んだズブズブの癒着構造だったことが伺えます。
「ブラック・スキャンダル」って、日本人には馴染みがないけど、アメリカ人には連日報道やゴシップで虚実ないまぜの情報が飛び交ってたあとで、事件のあらましや真相を想像しながら楽しむ映画だったのかも。
日本でいう「クライマーズ・ハイ」や「日本の黒い夏」みたいな。
ホワイティ・バルジャーが実際に犯した殺人が生々しく語られたり、重要な証言をするはずだった証人が謎の失踪を遂げ、遺体で発見…… と事実は映画より映画みたいで、背筋の凍る一本でありました。