アキ

ノー・エスケープ 自由への国境のアキのレビュー・感想・評価

4.6
広く荒涼とした砂漠、大地であるのに、これほどまでに空間が窮屈だと感じられるのは、ひとえにオヤジとワンコの賜物。何せどれだけ遠く距離をとったとしても、その鋭敏な嗅覚で敵の位置を察知するや、時速100万キロの速度でワンコが駆けてきて牙を向く、仮に高台に逃げおおせたとしても、遠方からのオヤジのライフルで狙われ、狙いから身をそらそうと谷間の陰に隠れてじっと待っている間にもワンコの駆ける足音が聞こえてき、休まる暇はない。作品のニュアンス的には去年公開された「追撃者」と似たものがあるも、面白さと恐ろしさはその比ではない。「アイインザスカイ」を観ていなければ、今年ダントツでナンバー1の作品でありました。
ちなみにワンコの狂い様はあまりも次元を逸したものではあるが、それをそうだと気にさせないのは、おそらくあのキーンと鼓膜を刺激する不気味な笛の音がユエだろうね。どこか文学的ニュアンスを感じたが。

蛇足1
オヤジに照準を定められている状況を不法移民の者たちはさも当然のように受け入れていたけどまさかこうした国境付近のマンハントが現実世界でも勃発しているなんてことはありはしないだろうね・

蛇足2
主人公がとあるシーンで決定的な決断をするんだけども、ある意味この手のものでは画期的というか慣習を打ち破るような流れにちょっと度肝抜かれた、まさかそっちの選択肢をとるか、みたいな。
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