いにょ

メッセージのいにょのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.1
2017年67本目。

素晴らしかった。何か感想を書こうとするとネタバレになるタイプの映画。めずらしく途中で勘がはたらいて、先を推測できて鳥肌が立った。

その言語を獲得するということはその言語での世界の見方を獲得する、という言語学的な概念がこの映画の前提条件になっていて、言語学出身者としてはなかなかステキだった。

蝶も蛾もpapillonで表すフランス人には蝶と蛾の違いは分からないし、イヌイットには「白」を表す単語が17個あるらしいが日本人には同じ白にしか認識できないし、感覚を研ぎ澄ませてその違いを認識出来たとしてもそれはあくまで「白」の概念の中での修飾によってしか捉えることが出来ない。

だから主人公が「それ」を手に入れたのだというのがすんなり入って来た。ただ主人公が色んな国の言葉に精通してるのは、言語学ってそういうことじゃないんだけどな、ってのは思ったw

個人的にはタイトルはArrival派。

そこへ到達していなくとも、そこへの到達を目指し途上にあること自体がすでに到達しているという、始まりと終わりの無い無限再帰的な概念にフィットする。仏教に近い考えがあって、ふとそれを思い出した。
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