五十

メッセージの五十のレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.0
えっ、北海道に⁉︎(大河内総理風に)

世界各地に巨大な謎の黒い物体が突如として現れる。
言語学者の主人公は、政府の要請によって物体とのコミュニケーションを図るべくチームに招集されるが…。
果たして物体の目的とは?

いやぁー、そこまで難解ということもなく良い映画だったと思います。
この映画の本当に伝えたいことや大切なことは、僕よりも文の上手い方が語っていると思うので今回は他に、個人的に好きな部分を挙げたいと思います。


本作では、我々の生活には欠かすことのできない“言語”や“文字”がキーワードになっていました。
“言語”や“文字”って結局なんだろね?って問いかけがあって、それらをもっともっと掘り下げていくと、生活の基盤にありすぎて僕らが当たり前だと思っている“言語”“文字”の本当の価値が見えていきます。

ここ、個人的にかなり好きな部分でしたー。
『キルラキル』終盤の“衣服”の解釈とも通ずる魅力。
僕達が当たり前だと思っている“あるもの”には実は考えもしなかった意味があって、それに主人公達が振り回される話が好きなんだなぁ。

黒い物体が人類をある意味ワンランク上の存在にしたってのも、『2001年宇宙の旅』っぽくて痺れる。
『2001年宇宙の旅』は、もはや一種の神話のような感覚があるので今作もある種、その系譜に属しているのが面白い。
そういえば『シン・ゴジラ』のゴジラも黒い物体で「人類に無限の物理的な可能性を示唆する福音」でもあったんだよなぁ。

映画人、ひいては人間の深層心理には黒い物体と人類に何かしらの関係を感じているところがあるのでしょうか…?

そして、もう一つ好きなとこ。
景色がすっごい綺麗なんですよね、この映画。
壮大な自然の中にポツンと佇む黒い物体…、もうたまらんかった。
ロケーションを楽しむ映画でもありました。

内容に関しては、ところどころやりすぎな気がしなくもない演出もありましたが、ぶっちゃけそこまで気になんないのでいいです。


掘れば掘るほど魅力が増す映画です。
誰かと観に行って語るもよし、一人で観に行って余韻に浸るもよし。
そして観た後にはちゃーんと心に何か残ってる、そんな贅沢映画でありました。
五十

五十